気になる企業の決算説明資料で考察!
金融目線というよりは、打ち手がおもしろいかという個人的視点で見て、振り返りができる勘弁的なメモになるようにしたいと思っています。
↓今回の企業は1月末の記事でふれています。
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【注目】『アフターデジタル2』を読んでみた!【銘柄連想】
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気になる企業
出典:企業HP 企業情報ページ(https://corp.rakuten.co.jp/about/)
ECモール(楽天市場)を中心に、インターネットサービスセグメント(楽天トラベル、楽天デリバリー、ラクマetc)、フィンテックセグメント(楽天カード、楽天銀行、楽天証券、楽天ペイetc)、モバイルセグメント(楽天モバイルetc)のサービスを連携させて、楽天エコシステム(経済圏)を提供。
2021年4月から、社名を『楽天グループ』に改称予定。
競合状況
3つの主要セグメント
- ”インターネットサービス”
- ”フィンテック”
- ”モバイル”
⬇️上記セグメントで競合する企業は…
- 日本電信電話(9432)モバイル事業で競合(”docomo”)
https://www.buffett-code.com/company/9432/ - KDDI(9433)モバイル事業で競合(”au”)
https://www.buffett-code.com/company/4689/ - ソフトバンク(9434)モバイル事業で競合(”SoftBank”)
https://www.buffett-code.com/company/4689/ - Zホールディングス(4689)ソフトバンク傘下。
”Yahoo!”、”PayPay”などネットサービス、フィンテックと多岐にわたり競合。
https://www.buffett-code.com/company/4689/ - メルカリ(4385)フリマで競合(”mercari”)
https://www.buffett-code.com/company/4689/ - SBIホールディングス(8473)ネットバンク&証券で競合(”SBI証券”)
https://www.buffett-code.com/company/4689/
下記2社を比較対象として選択。
- ソフトバンク(3つのセグメントすべてで競合)
- SBIホールディングス(ネットバンク&証券で競合)
SBIホールディングスも元は、ソフトバンクグループ(9984)の金融事業会社がスピンオフ…
▶︎ソフトバンク系譜である企業と総力戦をしている構図かな…
直近の業績
直近の四半期実績は…
⬇️楽天 https://kabutan.jp/stock/finance?code=4755
⬇️ソフトバンク https://kabutan.jp/stock/finance?code=9434
⬇️SBIホールディングス https://kabutan.jp/stock/finance?code=8473
出典:Kabutan決算情報
楽天は増収は続けているが、携帯事業の投資期で赤字は避けられない。モバイル事業を除外すれば増益であり、本業は順調だとわかると同時に、携帯事業の設備投資はエゲツないと感じる。
大きなリターンは誰もが理解できるので、株主としては成功を信じて待つしかない。
ソフトバンクは全セグメント増収で、特にヤフーが調子良し。携帯大手3社全体に言えるが、営業利益率が20%前後で推移しており、政府に介入されるぐらいの高収益業界。2020年末の値下げはジャブのような感じだったので大きく収益を欠くことはないが、大容量部分の値下げに踏み切れば、収益率は低下する可能性はある。天井の雰囲気が多少漂う。
SBIホールディングスは絶好調。メインの証券事業も過去最高数値、グループの証券口座数が昨年11月に600万口座を突破し、ネット証券での首位もキープ。”リップル (XRP)”推しが強いのが若干懸念だけど、暗号資産もFXも好調。地銀再編でも時流にのっており、掲げる”ネオバンク構想”で大同連携をしかけ、金融業でのプラットフォーム化に一番勢いを感じる。
出典:バフェット ・コード_企業ページ(2月12日時点)
注目する企業であるがゆえに、ニュースによって株価が大きく動く。本決算開示後に近年の高値圏にあり、赤字が底と見れば上昇、大手携帯3社の攻勢により計画が後退すると見れば下降と、運命の分かれ道にいる状態。決算開示後の月曜日(2/15)は株価を下げたけど、しばらくは横ばいで推移すると予想。
今後の見通し
”2020年12月期 決算説明資料”を見てみると…
出典:2020年12月期 決算説明資料 4・6・7頁
コロナ禍はメインのEC事業にとっては追い風で増収は達成しているが、前述の通り、携帯事業への投資が莫大であり、2期連続の赤字決算。
ウォーターフォールチャートを見ると大丈夫か不安になるけど、4Qだけを比較すると前期より赤字幅を縮小している。決算発表にて、ユーザー獲得コストが下がることから、損益分岐点の前倒しされる可能性も示されており、赤字の底も見えてきたかな。
出典:2020年12月期 決算説明資料 14・16頁
回線エリアは2021年中に及第点に到達といったところ、あとは料金を含めたサービス競争。
大手3社の値下げに対抗すべく、2021年1月に発表された”Rakuten UN-LIMIT VI”は顧客獲得の拡大に向けて、大きく勝負した流れ。発表以降も顧客獲得のスピードが加速しており、計画前倒しも視野に入る。2100万以上の楽天カード会員数を考えると、武器は揃ってきた印象。
個人的には無制限はいつまで継続できるか疑問であるが、もし継続が可能であるならば、大容量時代に突入する未来においては大きな打ち手と思う。
出典:2020年12月期 決算説明資料 36頁
2020年、EC業界は追い風なので好業績は当然と言ったところ。
懸念事項として、ECモールは”楽天市場”、”Amazon”、”Yahoo!ショッピング”の3社サービスでシェア構成の過半数を占め、寡占化の時期にきている。競争激化によって収益率が悪化する可能性があるため注視が必要。また、2020年は自社サイトの潮流もあり、支援する企業も多く台頭してきている。高コストなECモールからの離脱も将来リスクとして見えているので、定着率をあげる打ち手を増やさないといけない。
出典:2020年12月期 決算説明資料 71・79・87頁
フィンテック事業は順調。
SBIホールディングス(住信SBI銀行、SBI証券)も好調だけど、それ以上に口座数を伸ばしている。預金高も急増しており、オンラインでは2強状態。大手リアル系企業を尻目に両社の規模拡大はまだ続くだろうから、しばらくは収益源として見れる。
出典:2020年12月期 決算説明資料 102頁
今回決算で興味が高いのは”ペイメント”
キャッシュレス決済は、PayPayなどの印象が強いから意識したことはなかったが、楽天グループトータル(クレジットカード、非接触型IC、QRコードetc)のシェアが思っていたより高い印象。Suicaとの連携も、2019年に発表された時はピンときていなかったけど、直近での連携サービスも便利になってきているのも感じるし、ひょっとして…寡占化時には主役になることもありえるかもしれないって期待。
ふりかえりとして…
携帯事業は前途多難ではあるけど、ソフトバンクがボーダフォンを買収して通信事業に参入した時も「大丈夫?」って印象だった。収益はしばらく期待できないけど、データ連携によるクロスセルができるサービスもたくさん保持しているから、打ち手さえ間違えなければいけるんじゃない。
短期的には、収益性の悪化や計画の期ズレなどで一喜一憂するだろうから、株価は不安定だろうけど、長期的には方向性は間違っていないので、上方向を見ていきたいかな…
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