気になる企業の決算説明資料で考察!
金融目線というよりは、打ち手がおもしろいかという個人的視点で見て、振り返りができる勘弁的なメモになるようにしたいと思っています。
参考資料として…
- 企業ホームページならびに決算説明資料(2020年度 第二四半期 決算説明資料)
- 直近四半期実績の出典として『Kabtan』
- 直近データリンク先として『バフェット ・コード』
を利用しています。感謝です。
↓今回の企業は7月末の記事でふれています
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気になる企業
出典:企業HP トップページ(http://www.ci-medical.co.jp/)
- 歯愛メディカル(3540)
https://www.buffett-code.com/company/3540/
歯科医院向けを中心とした通信販売の企業。
産業用ガス大手で資本業務提携をしている『エア・ウォーター』が株式の40%保有。
事業の中身
歯科関連向けが主力(全体の約88%)であるが、それ以外でも…
- 介護・福祉施設向け
- 病院・一般診療所向け
- 動物病院向け
- 調剤薬局向け
- 幼稚園・保育所向け
- 理美容向け
などの通信販売も手がける。
その他事業として、歯科向けのCAD/CAM事業や電気小売事業も行っている。
競合状況
同業による競合は『FEED(フィード)』。2020年8月に『デンタルホールディングス(FEED社を傘下に持つ持株会社)』の株式を『ノーリツ鋼機』が『アドバンテッジパートナーズ』に譲渡する契約を締結。今回は比較対象から除外。
歯科卸が従来のプレイヤーであるが、一般向けの卸売業のように寡占化は進んでおらず、地域毎に中小規模(非上場)で営業しており、対象顧客は一緒だがビジネスモデルが違うので比較対象から除外。
同じ通信販売を主とする上場企業での比較として…
- MonotaRO(3064)2019年12月期:売上1314億円
https://www.buffett-code.com/company/3064/ - アスクル(2678)2020年5月期:売上4003億円
https://www.buffett-code.com/company/2678/
代表的なグロース銘柄である『MonotaRO』は工具の通販。『アスクル』は文具を中心としたオフィス向けの通販大手。双方ともにBtoBのカタログ及びECサイトの通販で先行する企業。主力商品は違えど『歯愛メディカル』の主力である歯科向け商材も取り扱い、競争相手になってきている。
直近の業績
直近の四半期実績は…
『歯愛メディカル』https://kabutan.jp/news/?b=k202008110206
『MonotaRO』https://kabutan.jp/news/?b=k202007310142
いずれもコロナ影響で好転している。『MonotaRO』は売上、利益ともに好調に推移しているが、『歯愛メディカル』はそれを凌駕している。もちろん規模が違うから比較対象とはなりづらいが、医療機関に向けた衛生用品(マスクや消毒液)の販売など、BtoBの中では一番恩恵を受けた部類と言える。
出典:バフェット ・コード_企業ページ(9月4日時点)
7月末の記事時点では、第二四半期の決算前で株価も4000円前後であったが、直近では7000円を超えている。業績が上振れる分を織り込んでいる様子。
今後の見通し
決算説明資料と見ると…
出典:2020年12月期 第2四半期 決算説明資料 5ページ
主力の通販事業が引っ張っている構図。利益のほうがよいのは、同時期の小売業と同様で、特売などの値下げ販売期間の減少による粗利率の改善が決算資料の損益計算書からも読める。
出典:2020年12月期 第2四半期 決算説明資料 6ページ
歯科業界は市場規模が3000億円〜4000億円と言われるが、近年における子供の虫歯減少などもあって、市場全体は縮小傾向。但し、旧態依然の業界で、コロナによる追い風もあって今後もシェア拡大を見込める。歯科関連以外は、歯科関連以上の伸びを示しているが、大病院や大手チェーンに対して入り込むのは非常に高い壁であるので、介護施設、一般診療所(クリニック)、動物病院など大手が参入しづらいところをフォローできるかが鍵と見る。
出典:2020年12月期 第2四半期 決算説明資料 7ページ
電気小売事業は、ストックビジネスとして安定収入があり利益率も高い。但し、変える手間や大手電力から変更する場合の不安などもあり、採用率の低さから営業効率はあまりよくないと聞く。一般的に参入障壁が高い医療機関へのアプローチは、販売ネットワークをうまく活かせれば、今後も拡大は可能。
出典:2020年12月期 第2四半期 決算説明資料 8ページ
医療機関にとって衛生用品の調達は生命線であるため、緊急対応による小口配送は増加しているが、全体の伸長でカバーされているので大きな影響はない。
出典:2020年12月期 第2四半期 決算説明資料 9ページ
細かく見ると…
- 現預金が△3.9億円(前年比84.3%)
- 売掛金が+10.3億円(前年比135.2%)
とあって懸念材料にみえてしまうが…
石川県マスク斡旋事業による売掛金6.9億円は、第3四半期に入金されるようなので心配なし。
チェック
石川県では県民向けのマスク購入あっせんを2020年5月に実施
『歯愛メディカル』が調達したマスクを『クスリのアオキ』の県内店舗で販売。
この事業は既に終了している。
出典:2020年12月期 第2四半期 決算説明資料 13ページ
直近の業績を鑑みると、売上も利益も大きく伸長しているため、昨年の消費増税による影響が大きくないのであれば、第3四半期も維持できる可能性も高いので予想の上振れも期待される。但し、上方修正を織り込んでいるような株価なので、上方修正をしない場合は…注意!
私見としては…
来年以降も今年以上の伸長を示すかは未知数であるが、伸長はしばらく続く見込みであるので、数年ぐらいを目処として保有するのは、”ありよりのあり”かな…いずれにしても、投資は自己責任です!
懸念点は…
歯科市場の規模が縮小傾向なこと。昔は、虫歯の治療をしている子供も多かったですが、最近は聞かない。自分の子供も歯の治療をしたことがない…
歯の美白や歯石取りなどのメンテナンスをする人は一定数いるが絶対数が減っているのが気がかり…
あと、旧態依然の業界であるが、通販のシェアが増えた未来はどうなる?現時点で『MonotaRO』や”Amazon business”なども使用頻度の高い衛生用品などを中心に参入しているが、本丸である歯科材料などの領域にも入ってくるとレッドオーシャンに突入する。もちろん飛躍した考えだけど、可能性はゼロではないかな…
いずれにしても、中期的にはあり、長期的には微妙といった感想。
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