資産運用について
資産運用の目的
将来に何をしたいのかによって、どのような運用が向いているか決まってきます。『子供の教育費用をためたい』とか『家を買いたい』、『不労所得を得たい』など目的によって運用方法は変わってくるので、目的を決めたほうが設計しやすいです。
とは言っても、明確な目的はなくても、”少しでも資産を増やしたい”と思うのは当然のことなので、リスクの低いものから始めていき、自分にあった運用方法を見つけて行くのが良いと思います。
人生は長いですが、何事も始めるのは早いほうが良いです。「思い立ったが吉日」です。「でも、ちょっと落ち着いてから…」は後悔します。ゆっくりでいいので、最初の一歩を踏み出しましょう。
利益の考え方
1.キャピタルゲイン・インカムゲイン
キャピタルゲインとは、購入価格と売却価格の差額による利益を指します。株式や先物取引などの売買がそれに当たります。
インカムゲインとは、資産を保有することで得られる利益を指します。預金の利息、株式の配当金、投資信託の分配金などがそれに当たります。
キャピタルゲインは、リスクはありますが、大きな利益を得る可能性があります。対して、インカムゲインは利益率は低いながらも安定して利益を生み出す可能性があります。
投資による利益は上記に特性をもっていますが、その性質を理解して、うまく組み合わせながら利益を確保していくことが重要になります。
2.複利
マネーリテラシー(お金うまく活用する能力)を勉強すると、必ず『複利(ふくり)』の説明が出てきます。
複利とは、複利法で計算された利子のことで、得られた利子を元本に組み込むことで、元本だけではなく利子にも利子がつくので、期間が長くなれば利子も雪だるま式に増えていくと言う考え方です。(⇔単利)
投資を長く続ければ、複利の恩恵を受けて資産が増えやすく、借金の返済期間が長くなれば、返す金額が増えると言うことです。
豆知識として、複利には『72の法則』という法則があり、投資または借金の金額が、元本の2倍になるのに要する年数が計算できます。
- 例1)金利6%で資産運用した場合▶︎元本が2倍になる年数は?
『72÷6=12』▶︎利回り6%で運用すれば、12年で元本が2倍になる - 例2)20年で元本を2倍したい場合▶︎必要な平均利率は?
『72÷20=3.6』▶︎20年で元本を2倍にするには、必要な平均利回りは3.6%となる
※『利回り』とは、投資に対する利益の割合のことです。(年単位が一般的)
複利は期間が長いほど大きな力を発揮します。
例えば、元本100万円を利回り5%で資産運用した場合において、単利と複利を比較すると…
最初は大きな差はないですが、10年目には約13万円の差額が生じています。その後は差が大きくなっていき、30年目には180万円超の差額になるぐらい効果が得られます。
3.ドル・コスト平均法
別名『定額購入法』とも言い、一度に購入するのではなく、資金を分けて定期定額で購入する方法です。
価格が高い時は購入する数量は減り、価格が安い時は購入する数量が増えるので、平均購入単価を抑える効果が期待できます。
相場が上昇している時は、先に一括購入するより平均単価が上がりますが、毎月積立をする場合は、定量購入法(毎回同じ数量を購入)よりも平均単価を抑えられます。
投資によっては、資金を集中させたほうが大きな利益を生む時はありますが、始めはリスクを分散しながら投資するほうが良いです。
4.レバレッジ
経済や金融の世界でよく『レバレッジ』と出てきます。元の意味は『てこの原理』を指しますが、経済や金融の世界では他人資本を使って、自己資本をさらに増やす意味に使われます。
例えば企業でのレバレッジを例にすると…
例)自己資本5000万円のA社▶︎1店舗保有(売上2000万円/年、利益200万円/年)とした場合
5000万の借金(年利1%)をして、店舗を2店舗に増やしたと仮定します。
- 費用】借金返済による費用増(5000万円×1%=△50万円/年)
- 利益】店舗増による利益増(+200万円/年)
▶︎ 利益増200万円−費用増50万円=利益増150万円/年
単純計算ですが、5000万円の借金をして、年間利益を150万円増やした例です。
企業における事業拡大は、レバレッジによる利益拡大を狙ったものです。
個人においても応用ができ、証券会社から資金を借りて取引する『信用取引』がその一例です。
リスクの考え方
資産運用の種類には、定期貯金や外貨貯金のような『貯蓄型』と、株式投資や投資信託のような『投資型』があります。
1.投資によるリスク
『投資』には必ずリスクがあり、資産が増えることもあれば減ることもあります。
投資対象には価格があり、その価格は常に変動しています。
- 時間が経過すると需給が変わります。需要が増えると価格が上がるので収益が増え、供給が需要を超えると価格は下がっていき、競争が激化するので、収益が悪化します。
- 為替の変動は企業の収益に大きく影響を与えます。社会の勉強でも習ったように、円安になれば輸入で損をし、円高になれば輸出で損をします。
- 成長している新興国は投資の対象としては有望ですが、国の財政が不安定、治安も高くなく、地域によっては紛争を抱えていて、ニュースひとつで暴騰や暴落が起き得ます。
2.現状維持のリスク
リスクがないと思われている『貯蓄』にもリスクはあります
一定額まで元本保証されている銀行の『預金』も、現在の超低金利政策もあって、2019年あたりから”口座維持手数料”を徴収することも検討されています。銀行に預けていると、手数料で元本が減るということです。
この数年、世界的に株価が上昇していましたが、株の価値が上がっているのではなく、通貨の価値が下がっていると見る方もおられます。もはや、通貨だけを保有することもリスクになりつつある時代です。
一番のリスクは”リスクを知らない”ことです。リスクを把握することから始めましょう。
そして、リスクの予測は難しいです。考えられるリスクを事前にケーススタディし、問題が発生したときにパニックを起こさないようにすることが一番のリスク対策だと思います。
資産運用の種類
代表的な項目は、以下の通りです。
『個人向け国債』は、ペイオフ制度(預金額1,000万円まで元本保証)により、1,000万円を超過している方がリスクヘッジのために保有しているイメージです。
初心者におすすめするとしたら、少額から始められる『外貨預金』『投資信託』『株式投資』が良いと思います。いずれにしても、仕事をしながらできることもおすすめの理由です。
リスクは高いですが、『FX(外国為替証拠金取引)』や『仮想通貨』も人気の高い投資です。実際に始めなくても、検討はしても良いかなと思います。
初心者におすすめの資産運用
投資信託
『投資は分からないので、プロに運用を任せたい』と言う方は、投資信託がおすすめです。
投資信託は、資産運用を専門家に任せるので、投資の知識がない初心者でも手軽にできます。特に積立型の投資信託は、複利とドル・コスト平均法をうまく活用しており、堅実な方の多くが運用されています。
ただし、投資信託の中にはハイリスク・ハイリターンな商品もあるので、適当な売買はできません。専門家に任せると言っても、資金の増減は自己責任なので、必要最低限の勉強は必要です。
複利をうまく利用する方法を学び、現状よりも資産が増えること計算しながら取引をしたら良いです。
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【初心者向け】投資信託の始め方!仕組みを正しく理解しよう!
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株式投資
『投資に興味があり、自分で投資先を決めたい』と言う方は、株式投資がおすすめです。
口座があれば、スマホでも取引ができるので、取引が手軽になりました。
現物取引(資金の範囲)だけではなく、信用取引(証券会社からお金を借りて、取引できる金額を増やす)でレバレッジをきかせた取引もできるので、少額で大きな利益も得られる可能性があります。
ただし、信用取引はリスクをともなうので、最初は現物取引から初めて、仕組みがわかった時点で信用取引も検討されたら良いと思います。
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【初心者向け】株式投資の始め方?仕組みを正しく理解しよう!
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初心者が検討する資産運用
FX
『為替に興味があり、シンプルな取引がしたい』と言う方は、FXを検討してもよいと思います。
少額で始められて、ほぼ24時間取引可能(就業時間外に取引可能)で、スマホでも取引ができるので、サラリーマンにも人気がある取引です。
手軽な分、許容をこえた取引をしてしまい、多額の債務を抱えるリスクもあるので、自制できない方は慎重に検討したほうが良いです。
仮想通貨(暗号資産)
『仮想通貨に興味があり、取引をしてみたい』と言う方は、仮想通貨取引を検討してもよいと思います。
金融庁での呼称は2018年に『暗号資産』となりましたが、いまだに『仮想通貨』の呼び方が根強いです。
一時期、流出事件で世間を賑やかしていましたが、大手の参入でセキュリティも対策され、スマホでも手軽に取引ができるようになってきています。
仮想通貨の管理に使用されている『ブロックチェーン』の技術は、将来性は十分に高いと思います。ただし、その技術を使った仮想通貨の将来価値は正直わかりません。
今は、ブロックチェーンの将来性を確認しながら投資を検討されたらよいと思います。
おすすめする書籍
投資で一番大切な20の教え
正直に言えば、最初はランキング上位であったので読んでみました。
著者は日本円で6兆円以上の巨大ファンドを創業した『ハワード・マークス』。巨大ファンドらしく、大きく儲ける方法を語っていると思いきや、話の大半は『リスク回避』です。
投資の勉強をすると『リスク・リワード (損失・利益)』の話がよく出てきます。利益を出すときには、リスクの確率が低いものを選ぶという考え方ですが、ハワード・マークスの話が源流なのかもしれません。
そして『ハワード・マークス』の代名詞である『バリュー株(割安株)』への投資を軸に書いています。
投資を始めると『グロース株(成長株) 』への投資に魅力を感じます。短期投資では利益を上げても、長期投資ではバリュー株への投資のほうが利益率が高いと統計が出ていて、ハワード・マークスの創業したファンドでも実績で示しています。
大きな利益は狙わないのは一見地味ですが、長期的に投資を考えているなら読む価値はあります。